ページトップへ戻る
  • 高齢者福祉と地域づくりを一体化させるアイディアも! 介護離職ゼロなどを目指す「地域力強化検討会」中間取りまとめ
  • 読み物
  • 高齢者福祉と地域づくりを一体化させるアイディアも! 介護離職ゼロなどを目指す「地域力強化検討会」中間取りまとめ

高齢者福祉と地域づくりを一体化させるアイディアも! 介護離職ゼロなどを目指す「地域力強化検討会」中間取りまとめ

2017年1月6日 ニュース 介護行政の動向

高齢者福祉と地域づくりを一体化させるアイディアも! 介護離職ゼロなどを目指す「地域力強化検討会」中間取りまとめ

介護保険外サービスの拡充など、高齢者福祉の領域で大きな変化が起こっています。これに関連して、全世代を対象とした地域福祉でも抜本的な改革が進められようとしています。厚生労働省は平成28年12月26日、その方向性を整理した「地域力強化検討会」中間取りまとめ資料を公開しました。

多分野の連携、地域性の強調といったテーマを掲げており、地域包括ケアシステムに類似した施策が目立ちます。もっと言えば、地域包括支援センターを介護、地域福祉両方の拠点として活用するという意見さえ見られ、介護分野との親和性の高さが際立っています。日本の福祉は、今後どのように変化していくのでしょうか。

住民たちが協力して、地域課題を柔軟に解決

平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」で介護離職ゼロを実現する施策のひとつとして”地域共生社会の実現”が提唱されました。介護離職の背景には核家族化、介護施設不足、少子高齢化などさまざま原因があり、一筋縄にはいきませんし、地域によって取り組むべき課題が異なる場合も少なくないでしょう。そこで、ボランティアなどのかたちで人々が支え合い、各地域が柔軟に問題を解消していく仕組みを作るという発想に至ったものと思われます。

「地域力強化検討会」の中間取りまとめには、地域共生社会の具体的な方針が示されています。その中心にあるのは「我が事」「丸ごと」という2つのコンセプトです。

まず重視されるのは、地域住民が自分の周辺で発生しているさまざまなトラブルを「我が事」として受け止め、解決に取り組むこと。当然、一般人が何から何までするのは困難なので、専門機関と協力することも必要です。しかし、いわゆる従来型の”縦割り行政”では、相談しようと思っても「窓口が分からない」「対応してもらえなかった」という結果になりかねません。そのため、各機関との連携を取ってどんな問題でも「丸ごと」受け止めることができる機関が求められることになります。

また、特徴的なのは、福祉サービスの提供者、利用者という考え方を取っ払おうとしている点。たとえば、高齢者が子どもたちのために場所作りをしてあげる場合、市町村がそれを介護予防事業として支援するような取組が必要だと主張されています。このような工夫をすることで、誰かが一方的に福祉サービスを作り出し、別の誰かが利用するという関係ではなく、双方にメリットのある関係を作り出せる可能性があります。地域づくりに貢献する住民のやり甲斐、モチベーションの向上などにも繋がるのではないでしょうか。

住民から協力を得る能力を持った人材、企業を求める声も

地域共生社会は、実際にはどのようなかたちで実現されるのでしょうか。この点については各地域の実情にあったアプローチが求められており、各自治体によって異なる形態が採用される見込みです。住民が「自分たちの地域」と自認しやすいことが重視されているので、範囲的には小、中学校区のようなかなり狭いものになると思われます。

住民の相談を”丸ごと”支援できる仕組みづくりが2020〜2025年までに全国で実施される予定ですが、それを活かすために取り組まなければならない課題が残されています。住民側から「なぜ地域の問題を”我が事”として受け止めなければならないのか」と導入を嫌がる声があがっているのです。

自治会、町内会への加入率の減少、子育て世帯の多くが地元ではない地域に生活していることなどを考えると、そんな義理はないと反発するのもある意味、当然のこと。イソップ寓話「北風と太陽」に登場する北風のような、闇雲な説得は効果がないと思われます。反対にたとえば、商工会のような組織に対して「福祉にコミットすることで地域を活性化することができ、売上アップにつながる」と相手の立場に立った提案をすれば、協力を得やすくなるのではないでしょうか。

資金集めの側面ではクラウドファンディングなどを活用することが有力視されており、ここでもやはり人の心をつかむことが重要になります。そのため、旧来的な福祉の枠組みを崩し周囲を巻き込める企画、人材が求められており、新規参入が必要だとする声も現れています。