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知れば介護予防の課題が見えてくる! 「ロコモーティブシンドローム」の基礎知識

2016年11月22日 コラム 高齢者の食事

知れば介護予防の課題が見えてくる! 「ロコモーティブシンドローム」の基礎知識

高齢者が健康で自立した暮らしを維持するには、介護予防が欠かせません。その分野で近年、注目されているのが「ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)」。立ったり歩いたりといった基本的な動作が難しくなることを指し、この状態に陥ると寝たきりになる可能性が高まります。

このロコモと関連してよく出てくるのが、「フレイル」「サルコペニア」という概念。少し分かりにくいのですが、正しく理解することで介護予防のポイントが見えてきます。

徐々に要介護状態になる前に対策をすれば、健康状態を取り戻せる可能性が

まずは、最も包括的な意味を持つフレイルから解説していきましょう。

脳卒中などのケースを除き、高齢者が突然、要介護状態になることはあまりありません。一般的には筋力の低下、認知機能障害、独居、経済的困窮などの状況から心身へのストレスに対して脆弱になることで、徐々に要介護状態に陥ります。つまり、健康な状態と要介護状態は白黒はっきり分かれているわけではなく、グレーゾーンが存在するのです。フレイルとは、この中間的な段階を指します。

この概念を理解するうえで抑えなければならないのは、要介護状態に移行していく段階であると同時に、早期発見し適切な対処を取れば、健康な状態に戻れる可能性があるということです。フレイルは従来「虚弱」「老衰」「衰弱」といった言葉で表現されていました。しかし、先ほどの話とは反対に「加齢による不可逆的な変化」と捉えられやすかったため、イメージチェンジを目的に、2014年に日本老年医学会がカタカナ語を当てました。

フレイル、ロコモ、サルコペニアの関係性

ロコモは骨や軟骨、筋肉などが弱体化することで、変形性関節症や骨粗しょう症などの疾患が現れ、歩行、立ち座りなどの移動機能が低下することを指します。日本整形外科学会が2007年に提唱した概念で、出自がフレイルとは異なりますが、この2つは関係づけることができます。

フレイルは人間に影響する心理、身体、社会的な側面を含み、多面的に捉える必要があります。しかし、ロコモは要介護状態になるきっかけになりやすい「運動器の障害による移動機能の低下」に焦点を当てています。フレイルの中でも身体的なトラブルを表現する下位概念と理解すればよいでしょう。

サルコペニアは1989年に海外で提唱された概念。狭義には加齢、栄養不良などを原因に起こる筋肉量の減少によって、身体機能が低下することを指します。これはロコモの下位概念として位置づけることができます。

ここで一度、話を整理しましょう。健康、要介護の中間にフレイルという段階があり、これは身体、心理、社会と複数の側面から把握されます。身体的な(特に運動機能の)問題点に注目するのが、ロコモーティブシンドローム。その中でも筋肉量などに言及するのが、サルコペニアとなります。

日々の食事と運動で、高齢者の健康な暮らしを

介護予防の観点から考えるとフレイル、ロコモーティブシンドローム、サルコペニアは、要介護状態になる”前兆”のような存在です。フレイルと診断された65歳以上の高齢者のうち、3割が2年以内に要介護状態となったという調査結果があり、これらの対策をとることは重要な課題となっています。

その一方で、この3つの根本的な原因には加齢があり、サルコペニアに該当する人は75歳以上で全体の2割以上、80歳代では3~4割と達するとされています。高齢者にとっては、極めて身近な問題でもあると言えます。

これらを回避するうえで重要なのは、やはり運動。それから、健康な身体作りを支えるバランスの取れた食事です。日々の生活での小さな積み重ねが、介護予防には大きな力を発揮するのです。