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少子高齢化による財政難で高齢者の医療費、負担増大へ 高額療養費制度、保険料軽減特例にテコ入れの方針

2016年12月26日 ニュース 介護行政の動向

少子高齢化による財政難で高齢者の医療費、負担増大へ 高額療養費制度、保険料軽減特例にテコ入れの方針

介護保険とともに、高齢者の暮らしを支える大役を担っている医療保険制度。心身にトラブルが発生したときの頼みの綱ではあるものの、高齢化の進展により財政的に厳しい状況に置かれています。

両保険制度における負担割合の引き上げは高齢者の金銭面に直結することから、慎重な対応が求められる課題となっています。医療保険部会では2016年9月29日から5回にわたって、それに関連したテーマなどが議論され、12月8日に意見案が発表されました。いったい、どのような方針が示されたのでしょうか。

高額療養費制度:外来特例が撤廃される可能性が濃厚

高額療養費制度は、被保険者の所得に応じて医療費の自己負担額の上限を定め、超過分を償還払いする仕組み。所得に応じて限度額が異なり、70歳以上の場合は「現役並み」「一般」「住民税非課税/同条件で所得が一定以下」と区分されています。

現行制度における世帯あたりの限度額は以下の通り。

  • 現役並み:80,100円+1%
  • 一般:44,400円
  • 住民税非課税:24,600円
  • 住民税非課税(所得が一定以下):15,000円

また、70歳以上の場合、個人の外来利用における限度額を定めた「外来特例」が設けられています。

  • 現役並み:44,400円
  • 一般:12,000円
  • 住民税非課税、同条件で所得が一定以下の場合:8,000円

この外来特例は、平成13年に高齢者の負担が定率1割と定められたことを受け、翌年10月に導入。現在に至るまで適用されてきましたが、財政が悪化していること、世代間格差(70歳以下には外来特例がない)の原因になっていることなどから、医療保険部会では「現役並み所得者」では撤廃、「一般」では上限引き上げすべきとする意見が多く見られました。

なお、今回の議論では現役世代とされる70歳未満での見直しは保留される方針で、比較的金銭的に余裕のある70歳以上の高齢者に負担増を求めることで、世代内、世代間格差の縮小が行われたかたちになります。

保険料軽減特例は段階的に撤廃へ

平成28年度の後期高齢者医療制度の保険料は5,659円となる見込みで、制度が発足した平成20年から数百円しか変わっていません。また、被保険者の世帯所得に応じて、軽減措置を行う「保険料軽減特例」などがあるため、実際にはさらに低い保険料を支払っているケースが多々見られます。その一方で、高齢化の進展により、国や現役世代への負担は増加しつづけています。

保険料軽減特例に関しては平成29年度から低所得者に配慮しつつ、段階的に撤廃することが決定しており、今回の医療保険部会でも目立った反対意見は見られませんでした。なお、低所得者への負担増を避けるために、介護保険料の軽減、年金生活者への給付金支援などを行うのはどうかという意見もあり、高齢者への影響のほどは、まだ確定していません。

とはいえ、高額療養費制度、保険料軽減特例はともに負担を増加する方向で検討が進められており、低所得の高齢者に対する配慮は行われているとはいえ、暮らしに影響することは免れないでしょう。

全体的に意見が割れることが多く、共通見解の見出しにくい議論に

そのほか、「かかりつけ医を普及させるために、それ以外の医者に受診する場合、定額負担を求めるのはどうか」「大正15年に施行され、意義が薄まってきている『任意継続被保険者制度(退職前に加入していた健康保険に最大2年間入ることができる)』はどのように見なおすべきか」といったテーマの検討も進められました。

身体的にも経済的にも高齢者に影響する分野のためか、医療保険部会では賛否が分かれることが多々あったようです。高額療養費制度、保険料軽減特例などのテーマでは厚生労働省が複数の案を提示しましたが、そこでも意見が割れており、はっきりとした共通見解は出されていません。