ページトップへ戻る
  • 2018年から一部解禁される可能性も 進む混合介護のルール整備
  • 読み物
  • 2018年から一部解禁される可能性も 進む混合介護のルール整備

2018年から一部解禁される可能性も 進む混合介護のルール整備

2017年6月16日 コラム 介護行政の動向

2018年から一部解禁される可能性も 進む混合介護のルール整備

内閣府で、混合介護の解禁に向けた動きが進められています。2017年6月9日、規制改革推進会議が提出した答申を踏まえた「規制改革実施計画」が閣議決定。介護保険内、外サービスの柔軟な組み合わせの実現を目指した議論が、同年度内に開始されることが明らかになりました。

混合介護に対しては厚生労働省などが慎重な姿勢を取っており、課題の山積したテーマとなっていますが、平成30年度上期内には事業者が提供しやすい環境がある程度整えられると見られます。

厚生省のあいまいな方針などから、取り組みにくくなっている混合介護

混合介護は、人材不足の解消、収益性向上などに有効だと考えられている介護サービスのあり方。介護保険が適用されるサービスと、適用されない保険外サービスを併せて提供することを指します。かねてから法的には禁止されていなかったものの、事業者がより柔軟に提供できる仕組みづくりが必要と、2016年に公正取引委員会が主張。それ以降、「同時一体的な提供(介護保険サービスとして利用者の食事を用意するときに、保険外サービスとして家族分もまとめて作るなど)」「価格の自由化」などを論点とした議論が活発化しています。

なぜ、違法でないはずの混合介護において、このような環境整備が求められているのでしょうか。2017年5月末に規制改革推進会議が公開した「規制改革推進に関する第1次答申」では、その原因のひとつは、厚生省の見解の不明瞭さにあるとされています。同省は混合介護を行う際に守るべき条件として、以下のようなものを掲げています。

  • 保険内、保険外サービスの明確な区分
  • 指定居宅サービス事業者が、保険内サービスと同等な保険外サービスを提供する際の不合理な価格差

規制改革推進会議が問題視しているのは「明確な区分」「不合理な価格差」という文言が曖昧なせいで、混合介護のルールが分かりにくくなっており、事業者が踏み出しにくい領域になっていること。ただし、混合介護の解禁のためには、その他の課題もクリアする必要があり、実際にはもっと複雑な問題となっています。

そのため、規制改革推進会議の答申では、2017年度内にさまざまなテーマで検討を行ったうえで「ルール整理」し、翌年度上期には地方自治体、介護事業者が理解しやすい「一覧性や明確性を持たせた通知」を発出する措置を取るとされています。「規制改革実施計画」でもこれは踏襲されており、「着実な実施」が図られる見込みです。

混合介護の解禁が、2018年から段階的に進む可能性も

この「ルール整理」という表現が採用された背景には慎重派への譲歩があり、一部報道では「混合介護の拡大が遅れる」などと否定的に取り上げられています。規制改革推進会議は当初、厚生省に2017年内にガイドラインを制作するよう求めていたのですが、意見の統一が難しかったため、やや曖昧な内容に改めたのです。

しかし、この点に関する善悪の判断は難しいかもしれません。というのも、国家戦略特区制度を利用した混合介護のモデル事業が、2018年度から東京都豊島区で行われることになっているためです。もし2017年内にガイドラインが完成したら、その時点で全国的なルール作りが進んでしまうことになり、一部自治体で、いわば“お試し的に”混合介護を解禁する意味が薄れてしまいます。規制改革推進会議が要求が通らないことを想定したうえで、ガイドラインの話を出していたとしてもおかしくはないでしょう。

また、ガイドラインの制作時期は不透明になりましたが、「ルール整理」を経て発出される「一覧性や明確性を持たせた通知」で、混合介護が解禁されることも考えられます。ただし、「介護職員の指名料」などについては結論を出す期限が定められておらず、段階的に解禁が進む形になるかもしれません。

安倍首相は「介護保険の内外サービスの柔軟な組合せを促すルールづくり」を今期の「新たな柱」と述べ、前向きな姿勢を姿勢を見せています。現段階ではまだ判然としない点が多いものの、今後も混合介護の実現に向けた取り組みが行われることは間違いないでしょう。