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介護報酬マイナスの今こそ収益性を高める施策を 軽費老人ホームの経営状況を福祉医療機構が分析

2017年3月2日 ニュース 介護行政の動向

介護報酬マイナスの今こそ収益性を高める施策を 軽費老人ホームの経営状況を福祉医療機構が分析

約10年ぶりに、-2.27%とマイナスになった平成27年(2015)度介護報酬改定。来る地域包括ケアシステムの構築を視野に入れたものではありましたが、やはり介護事業所の収益にダメージを与えているようです。

軽費老人ホーム(ケアハウス)の経営状況分析を発表した福祉医療機構は「特段対策をとらず、従前どおりの経営を続けるのみでは減収を免れない」「安定経営を維持するための手段を講じることが必要」と総括しています。

平成27年度介護報酬改定を受け、軽費老人ホームの収入、費用が減少傾向

対象となったのは、福祉医療機構が貸付を行っており、開所後1年以上経過している施設。912ヶ所の軽費老人ホームを特定施設入所者生活介護の指定を受けている「特定施設」(205ヶ所)、そうでない「一般型」(707ヶ所)に分類し、分析が行なわれました。

平成26年(2014)度と比較すると、一般、特定施設ともにサービス活動収益、費用の両方が減少する傾向が見られました。しかし、活動収益対サービス活動増減差額比率、赤字割合に関しては、両者で正反対の結果が出ています。これは収益、費用の減り幅が、両施設で異なったため。

一般型では、収益(6,332万→6,242万円/約90万円減少)よりも、水道光熱費や給食費といった各種費用(6267万→6094万円/約173万円減少)が低下してプラスに。一方、特定施設は、費用が約255万円(13645万円→13390万円)、収益はその2倍にあたる約497万円(14844万→14346万円)低下してマイナスになりました。このような動きの原因と見られるのは、改定により介護保険関係収益が落ちたこと。特定施設では収益全体のうち約6割を占めており、特にその影響が強く現れたと推測されています。

黒字施設の特徴は「大きな定員規模」「収益性の高さ」

介護報酬改定などにより収益が落ちても、その分費用を減らせば一時的にはしのげます。しかし、現在は従業員の処遇待遇が求められており、人件費を下げるのは困難。そのほかの経費を下げるにも限界があります。むしろ、福祉医療機構は収益拡大を目指すことで、安定的な経営が実現できるとしています。

この根拠としてあげられているのが、”定員数が大きくなるほど、赤字になりにくくなる”傾向があるというデータ。定員20人以下の一般型、特定施設は約4割が赤字に陥っていますが、定員が50名を超えると一般型で30%、特定施設で11.9%まで少なくなります。事業規模を拡大することで効率的な人員配置が可能になり、人件費の負担が軽くなっているのです。

また、黒字施設のほうが定員1人あたりから得ている収益が大きいという結果も出ています。費用削減してジリ貧に陥るよりも、サービスの質、量ともに増加させ、魅力あるサービスで利用者を集めて定員数を上げる、入所利用率を向上させて収益確保の機会を逃さないといった方針のほうが有効なのではないでしょうか。他の施設と差別化を図ったり、介護報酬に頼らない収入源を獲得したりできる保険外サービスの導入も手段のひとつでしょう。

特別養護老人ホームでも、比較的小規模な施設が赤字に陥りやすい傾向

なお、特別養護老人ホームを対象とした調査でも同様の分析結果が発表されています。

特別養護老人ホームはさらに厳しく、定員が30人を下回る施設の約半数が赤字。提供している介護サービスの性質上、運営規模に対して従業員が多いこと、それにより空きが出たときの悪影響が大きいことなどがネックになっていると見られます。

少子高齢化対策により、めまぐるしい変化が続く介護業界。時代の求める変化に対応して収益を確保し、経営を効率化していくことが求められているようです。