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介護レクリエーションが求められる理由

2017年7月21日 コラム 介護レク

介護レクリエーションが求められる理由

老人ホームやデイサービスでは、必ずレクリエーションが行われています。しかしなぜレクリエーションをするのでしょうか? 身の回りに介護レクリエーションが苦手な高齢者がいたり、お遊戯会のようで退屈そうだというイメージを持っていたりする方にはその意義があまりはっきりと理解されていないかもしれません。しかし介護の現場で行われているレクリエーションにはさまざまな目的があります。ここではレクリエーションの意義・目的を体力・知能・社会などの点から3つに分けて紹介します。

 

体力面――体を動かして運動不足や体力低下を防ぐ

加齢による体力低下は、誰もが抱える問題です。筋力は自然と落ちていきますし、体を動かす機会も減っていきます。しかしそのまま運動をせずに過ごせば、体力は落ちる一方です。つまり、意識して体を動かす機会をつくっていかなければならないのです。

介護レクリエーションは体操やゲームを通して、体力低下を防ぎます。最近では体力低下や虚弱を示す「フレイル」という言葉や、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といった骨や関節などが弱り、立つ・歩くといった動作ができなくなる運動器症候群を示す言葉が新たにつくられ、高齢者の体力や運動機能の低下をいかに防ぐかが議題となっています。

体を使ったレクリエーションは、手や脚など、一部の身体機能が失われた方のリハビリテーションにもなります。レクリエーションによっては車いすに乗っている方でも参加できるものもありますし、動かないからといって体全体をまったく動かさないようになってしまうと体の機能は一気に落ちてしまいます。また、動かなくなってしまった部分にも少しずつ刺激を与えることによって、機能が格段に落ちていくことを防ぐこともできます。

体力を維持し、着替えや排せつなどの動作、いわゆるADL(日常生活動作)を維持することが、QOL(生活・人生の質)の向上につながります。体を動かし声を出したりすることで、ストレス解消にもなるのです。

 

知能・認知面――認知症などの機能障害にならないために

高齢になると知能が低下したり、記憶や認知能力に問題が出てきたりします。それらの機能が悪化すると、いわゆる認知症になるのです。そこでクイズや脳トレなどのゲームやレクリエーションを行なうことで、脳を活性化させることが、認知症予防になります。漢字当てクイズや言葉当てクイズは記憶力や言語機能を刺激しますし、計算問題などを取り入れたゲームも頭の体操になります。

また、レクリエーションに季節を取り入れることによって、見当識障害を防ぐことができます。見当識障害は記憶力や判断力の低下によって生じる症状で、「今がいつなのか」や「ここがどこなのか」が意識しづらくなるもので、認知症によく見られる症状です。七夕やクリスマスといった、年中行事を取り入れたレクリエーションは簡単に季節を意識できますし、春なら桜、夏ならひまわりなど、草花によって季節を感じることもできます。正月や夏至といった主要な行事以外にも、日本には毎日のように記念日があるので、「今日は何の日?」とクイズ形式にして出題するだけでも立派なレクリエーションになります。

今日は何の日|高齢者介護をサポートするレクリエーション情報誌『レクリエ』

 

社会面――施設や地域の人とのつながりを持つ

高齢者の生活は、ともすれば引きこもりがちになります。特に長い間社会人として働いてきた男性は、退職してから口数も少なくなることが多いといいます。しかし社会とのつながりを持ちつづけ、人と関わりつづけていくことは、年齢に関係なく大切なことです。人と関わりながら認めあうことで、個人の尊厳が維持・向上されますし、人と接する機会が適度な緊張感や刺激を生み、身だしなみに気をつけるなど、社会的な存在としての意識をもたらしてくれます。

介護施設では知らない者同士が生活しているので、トラブルを防ぎ、気持ちよく生活していくにはお互いの理解が必要です。レクリエーションは施設の利用者だけでなく職員とスムーズに意思疎通を図ることにもつながりますし、レクリエーションを通して好みや性格、考え方がについて理解が深まれば、よりよい施設生活につながるでしょう。新たな人間関係が、残りの人生の生きがいや達成感をもたらしてくれることもあります。

 

以上のように、介護レクリエーションにはさまざまな目的や利点がありますが、大切なのは参加者が楽しんで参加することです。体にいいから、放っておくと引きこもってしまうからといって、無理に参加させるようなものではありません。また、体や意思疎通が不自由になってしまった高齢者であっても、子どものように扱うべきではないでしょう。

レクリエーションの種類は無限にありますし、家庭でもできます。本や雑誌、インターネットでもたくさんのレクリエーションが紹介されています。準備が大変な凝ったものでなくても、体や頭を使って行う楽しいものが介護レクリエーションなのです。目的や意義を深く理解しつつ楽しくレクリエーションに参加することが、結果として一番の目的であるQOLの向上、すなわち豊かな人生につながります。

 

参考

たっきゅうさん『笑って楽しい! 高齢者レクリエーション』法研、2016年11月18日

社会福祉法人世田谷区社会福祉事業団監修『もう困らない!悩まない! 車いすの人でも楽しめる! レクリエーション50+盛り上げるアイディア100』誠文堂新光社、2014年5月16日

『レクリエ2016 特別号』世界文化社、2016年11月1日