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介護利用者の負担は増加? 福祉用具などのぼっくたり防止で減少? 第69回介護保険部会【後編】

2016年12月7日 ニュース 介護行政の動向

介護利用者の負担は増加? 福祉用具などのぼっくたり防止で減少? 第69回介護保険部会【後編】

2016年2月から介護保険制度の見直しに向け、審議が行なわれている介護保険部会。11月25日に開催された第69回ではいよいよ意見素案が発表され、大詰めを迎えています。

内容は「地域包括ケアシステムの深化・推進」「介護保険制度の持続可能性の確保」の2章に分かれており、自治体が取るべき動きから現場の人材不足解消に向けた施策まで包括的に記載。導入に向けた議論、調整が完了したわけではありませんが、今後の介護保険制度のあり方が見えてきます。

今回は「介護保険制度の持続可能性の確保」の内容をピックアップしてご紹介します。

介護保険制度の持続可能性の確保

この章で取り上げられているのは介護保険制度の利用者負担増加、総報酬割の導入など、主にお金に関係する項目です。

収入の多い世帯には、より大きな負担を求める方針

介護保険制度の利用者負担は平成26年(2014年)の介護保険法改正で、所得に合わせて負担割合を変更する仕組みが導入されました。65歳以上の方(1号被保険者)の負担割合は制度創設以来、一律で1割でしたが、「本人の合計所得金額が160万円以上」の場合、2割負担とされました。

意見素案では「現役並み所得相当」の場合、3割負担を求める方針が示されています。この「現役並み所得相当」の条件は以下の通り。試算では在宅サービス利用者のうち約13万人(3~4%)、特養入所者で約1万人(1~2%)が該当すると推計されています。

世帯内に1号被保険者が1人の場合:その収入が383万円以上
世帯内に1号被保険者がが2人以上いる場合:その収入合計が520万円以上

「収入に合わせた細分化という形で負担増加を求め、介護保険制度に余裕を作りたい」という考えなのでしょう。

その一方、「現役並み所得相当」という区分が一足早く導入されている高額介護サービス費では反対の動きが見られます。「現役並み所得相当」の場合、月々の負担上限は44,400円、それ以下の収入の「一般」は37,200 円とされていましたが、両者ともに44,400円で統一する方針です。

これらの国民の懐事情に直結する見直しに関しては、マスコミ各社が取り上げています。否定的な論調も見られますが、今後も高齢化が進むことを考慮すると「ある程度の負担増加はやむを得ない(ただし、その方法に関しては議論の余地がある)」とするのが中立的な見方ではないでしょうか。

福祉用具、住宅リフォームのぼったくりを防止する方針

福祉用具の利用、住宅のリフォームには高齢者の自立した生活をサポートする効果があります。しかし、事業者によって価格・内容面でのばらつきがあり、品質と不釣り合いな高額請求が行われるケースが確認されています。これらのサービスは一生に何度も使うものではなく、相場に詳しい利用者はあまりいないでしょう。悪質な事業者がそこにつけ込んで、利益を得ようとしている実態があるのです。

この問題解決に向け、以下のような施策が行なわれる見込みです。なお、そのほかにも書類様式の統一化を図り、分かりやすくするなどの多面的なアプローチが検討されています。

福祉用具:国が全国的な平均価格を公表する、福祉用具専門相談員に対し平均価格などの説明を義務付ける
住宅リフォーム:ケアマネジャーが利用者に対し、複数の住宅改修事業者から見積りを取るように説明する

議論を経て作成される意見素案には曖昧な言い回しが多いなか、このテーマに関しては比較的はっきりと方針が打ち出されています。介護関連業界の健全化のために、対応が強く求められていることの現れでしょう。

利用者の負担増が注目を集めているが……?

以上、意見素案で「介護保険制度の持続可能性の確保」の要所を紹介しました。この章には、年々深刻化している高齢化問題に対応するために利用者の負担増大を求めるなど、厳しい内容が見られます。

しかし、基本的には「収入が多い世帯に、より大きな負担」という方向性になっており、高齢者やその家族のお金の使い方にどこまで影響するかは不明瞭です。さらに福祉用具、住宅リフォームなどの価格適正化を目指す動きもあり、総体的に見た介護費用の増減は世帯によって異なるはずです。介護事業者は、今後も動向を注視していく必要があるのではないでしょうか。