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「介護の現場を守るための署名」「#介護士ストライキ」 介護報酬改定に揺れる業界動向

2018年2月8日 コラム 介護行政の動向

「介護の現場を守るための署名」「#介護士ストライキ」 介護報酬改定に揺れる業界動向

介護はよく「社会的に必要な仕事ではあるものの、激務なわりに実入りが少なく、働きつづけるのは厳しい業界だ」といわれています。そこから、人手不足を解消するための早急な待遇改善が必要だと叫ばれていますが、同時に、資金難という深刻な課題も抱えています。

2017年11月、11団体が賛同し、180万人が署名した「介護の現場を守るための財源確保の要望書」が安倍首相らに提出されました。このような介護業界の悲鳴は、同年年秋ごろから目立つようになっており、現場からも苦しい声があがっています。今回は、平成30年度介護報酬改定が迫るなか、自らの今後をかけて戦う介護業界の動向をお送りします。

介護の現場を守るための財源確保の要望書

「介護の現場を守るための財源確保の要望書(介護の現場を守るための署名とも呼ばれる)」の動きが顕在化したのは10月。全国老人保健施設協会が中心になって、団体の枠組みを越えた大規模な署名活動が行われました。

<賛同団体>

  • 全国デイ・ケア協会
  • 全国老人クラブ連合会
  • 全国老人福祉施設協議会
  • 全国老人保健施設協会
  • 日本介護福祉士会
  • 日本看護協会
  • 日本言語聴覚士協会
  • 日本作業療法士協会
  • 日本認知症グループホーム協会
  • 日本福祉用具供給協会
  • 日本理学療法士協会

全老健協は平成27年度介護報酬改定の際にも署名活動を行い、142万筆を集めましたが、「業界で一致団結して事を起こさないと動くことができない」と当時の大臣。今回の署名活動が全国の介護関係団体、職能団体などを巻き込む大規模プロジェクトとなったのはこのためなのだ、と東憲太郎氏(全老健協会長)は説明しています。

ここまでして、自分たちの声を政府に届けようとした理由について、活動意図を示した資料ではこう説明されています。

「全産業の収支差率(4.2%)が上昇する中、多くの介護サービスの収支差率は、平成 27 年度介護報酬改定を境に大きく低下しており、良質なサービスの提供に困難を強いられています。そのうえ、介護人材の不足は危機的な状況であり、社会的な問題です。介護の現場を守ることは、国民(利用者・家族・従事者等)の生活の安定に繋がります」

署名用紙にも同様の文章が掲載されており、「平成30年4月の介護報酬改定にむけて、社会保障財源の確保を強くお願い致したく、ここに署名を添付して提出します」と協力を呼び掛けていました。180万筆が集まったことを考えると、署名に加わった読者も多いことでしょう。

Twitterでは「#介護士ストライキ」

「介護の現場を守るための財源確保の要望書」と同じく10月ごろから、Twitter上では「#介護士ストライキ」というハッシュタグを使用した投稿が見られるようになりました。

利用者の暴力などに直面しなければならない苦しさ、人手不足で満足なサービス提供ができない悩ましさ、しかし、それらをいくら耐えても見合った給与が支払われない……。書き込まれている内容は多種多様ですが、追い詰められそうになっている現場の声が顕わになっています。

彼らがどこまで本気で「ストライキ」と表現しているのかは分かりません。実際にストライキをしてしまったら、利用者が被害をこうむると指摘する声もあります。しかし、「このままでは、高齢者を支える仕事が続けられない」「この業界は、変わらないとまずいことになる」といった思いを抱えていることは、確かなのではないでしょうか。

もし、離職率が高く、一向に人手不足が解消しない現状を「ゆるやかなストライキ」と捉えてよいのであれば、改善を求める動きはすでに、静かに着実に進んでいるのかもしれません。介護業界を支える人々が、満足に働ける環境づくりが強く望まれます。