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経営実態調査から分かる介護業界の“厳しい冬” 2018年度介護報酬改定はどうなる?

2017年12月28日 コラム 介護行政の動向

経営実態調査から分かる介護業界の“厳しい冬” 2018年度介護報酬改定はどうなる?

2017年10月、介護保険サービスを提供する施設の前年度の収支などをまとめた「介護事業経営実態調査結果」が発表されました。これには2018年度に控えている介護報酬改定の基礎資料としての役割があり、今後の介護業界を大きく左右することも十分に考えられます。

近年、介護職員の待遇改善を図る動きから、人件費が増大傾向にあります。これ自体が悪いわけではありませんが、今回の調査結果からは収益性が悪化し、施設や事業所が苦しんでいる現状が見て取れます。

これを解決するもっともシンプルな方法は「介護報酬を高めて、人材を抱えきれるだけの高い収益性を実現すること」でしょう。しかし、政府側にもない袖は振れないという現実があり、単に「介護のために、お金をいくら使う」だけでなく、「お金をどう使うか」という検討が行われています。今回は介護レクリエーションに焦点をしぼり、これからの介護業界について考察してみます。

平成29年度介護事業経営実態調査

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厚生省より

「平成29年度介護事業経営実態調査」は、介護保険サービスを提供する約1万5000の事業所、施設の前年度(2016年度)の決算結果をまとめたもの。全22種の介護保険サービスの収支差率は平均で3.3%となり、2015年度よりも0.5ポイント低下しています。

1ポイント超のプラスとなったのは訪問看護のみ。他サービスは良くても0.5ポイント前後の増加となっており、厳しいところでは2ポイント以上の低下を記録しています。例えば、2015年度に7.1%と収益性の高さを見せた通所介護は、今回の調査では-2.2ポイントも低下してしまい、4.9%に。4.6%から5.1%に伸びた通所リハビリテーションに、逆転される結果となりました。

全体的に収益性が悪化してしまった理由として考えられるのは、まず2015年度に行われた介護報酬のマイナス改定。さらに、さまざまな業界で問題化している人手不足によって人件費の増大が起こり、収入低下、支出増加のダブルパンチで収支差率が低下したと思われます。

なお、今回の調査では、実態をより正確に捉える目的から「対象期間を1カ月から1年間に」「長期借入金返済支出を調査対象に加える」などの変更が行われているため、従来の調査結果と単純に比べることはできません。とはいえ、介護現場の実感は、「長く厳しい冬が続いている」といったものなのではないでしょうか。

2018年度の介護報酬改定はどうなる?

さて、それでは2018年度の介護報酬改定はどうなる見込みなのでしょうか。プラスになるかマイナスになるかという点に関しては、“読み”が定まっておらず、見通しを立てにくいのが実情です。

社会保障費の増大を回避するためにマイナス改訂を求める動きもありますが、同時に「そんなことをすれば、介護業界が崩壊する恐れがある」と懸念する声も現れています。平均収支差率は3.3%とプラスになっていますが、実際の経営状況は事業所規模などによってマチマチ。数字だけを見て、すぐに決断できるような問題ではないのです。

報酬の量に関しては今後の議論が待たれますが、質的な転換が行われる点についてははっきりしています。2018年度の介護報酬改定では、「効果のある自立支援」が優遇する仕組みが採用される見込みです。

デイサービスに関しては「デイケア並みに維持改善というアウトカムができていれば評価すべき」とする意見が現れています。ここから、介護レクリエーションにも自立支援効果の高さが求められるようになるかもしれません。介護レクリエーションならではの「高齢者が楽しめるように」という発想と、効果を重んじる認知症予防、リハビリを組み合わせた取り組みが、重宝されるようになるのではないでしょうか。