ページトップへ戻る
  • 【保険外サービス展2017】出版社レベルの編集部が介護現場を支える小学校風デイサービス「おとなの学校」
  • 読み物
  • 【保険外サービス展2017】出版社レベルの編集部が介護現場を支える小学校風デイサービス「おとなの学校」

【保険外サービス展2017】出版社レベルの編集部が介護現場を支える小学校風デイサービス「おとなの学校」

2017年1月30日 ニュース 介護一般

【保険外サービス展2017】出版社レベルの編集部が介護現場を支える小学校風デイサービス「おとなの学校」

1月末、東京ビッグサイトにて「保険外サービス展2017」が開催。介護保険制度の枠組みにとらわれず、自由な発想で高齢者の介護、生活支援に取り組んでいる事業者たちがブースを出展していました。

今回は、小学校のような雰囲気を作り出すことで、高齢者の意欲を刺激するデイサービスを提供する「おとなの学校」をご紹介します。

“回想力”を引き出して、高齢者を積極的にさせる「おとなの学校」

「おとなの学校」の施設内には黒板や、レクリーエションの内容を「国語」「社会」などと言い換えた「時間割」などが設置。あたかも先生(スタッフ)が生徒(高齢者)に対し、ていねいに授業(レクリーエション)を行っているかのような演出に注力しており、一般的なデイサービスとはかなり趣きが異なります。

このような方針の背景にあるのは、高齢者の”回想力”を刺激する特別な空間を作り出すことで、脳を活性化させようという狙いです。ブース内で若い女性が「授業」を行っている映像が再生されていたのですが、その口ぶりや仕草は小学校の先生そのもの。質問を受けた高齢者らも元気に挙手しており、他の場所との雰囲気の違いをはっきり感じ取っているようでした。

unspecified

介護関連企業ながら、出版社レベルの「教材」づくり

ブース担当者に取材するなかで特に印象的だったのは、「教材(レクリーエションで使用する冊子)」に対する考え方です。同社はこの内製のために編集部を組織しており、大手出版社の元編集者やTVディレクターが働いているそうです。内容を決めるための編集会議まで開かれるといい、並々ならぬ力の入れようが伺えます。

そこまでやっているわけですから、元雑誌編集者の筆者から見てもしっかりした紙面構成に見えるのは当然のこと。たまたま開いたページでは見出し部分が鉛筆のイラストで囲われており、これはおそらくドリル、教科書らしく見せるためでしょう。「こういうシンプルな表現が、意外と思いつかなかったりするんだよな」とつい昔の仕事を思い出してしまいました。本文には資料としてマリリン・モンロー、池田勇人といった高解像度の人物写真が掲載されており、使用にあたっての権利処理も済ませているようでした。

unspecified

unspecified

なぜ、これほどまでに注力しているのか尋ねてみると「中身を作り込むことで、デイケアを受ける高齢者もスタッフも楽しめるようになる」とブース担当者。「レクレーションの資料を白黒コピーのプリントなどで済ませているところが多いが、冊子形式にして名前を書いてもらうことで愛着がわく」とも話しており、サービスの魅力を高める仕掛けのひとつとして考えているようでした。

「授業」は新しいことを学ぶというより、これまでの人生で学んだことを思い出すような内容で、ここでも”回想力”を引き出す工夫がなされています。現在の介護、生活支援のアプローチでは、心身の衰えを気遣う周囲がなんでもしてくれる環境下で自尊心を失ってしまう高齢者が少なくないものの、「おとなの学校」では「授業」を通じて自分の能力を再発見し、自信が取り戻せるそう。それによって認知症の予防、症状緩和が見込めるのだといいます。

本格的な編集部運営で、現場の負担を下げる工夫

「教材」には「授業」の進め方を記載した、先生役を務めるスタッフ向けのものも用意されています。「おとなの学校」のデイサービスの手法は難しそうに見えますが、このおかげで実際にはかなり簡単に行うことができ、施設で働く人全員が現場に立てるのとのこと。

レクレーションの道具作りにコストをかけることで、現場のコストを低下させる――他の事業者には見られない変わったアプローチですが、同社のサービスを実現させるうえでは外せないポイントでしょう。さまざまな側面からサービスの品質向上にも役立ち、一石二鳥、三鳥の効果をあげているようでした。

unspecified

保存