ページトップへ戻る
  • 在宅療養の7割が栄養状態に問題 介護予防の要になる高齢者の食事が難しい理由とは
  • 読み物
  • 在宅療養の7割が栄養状態に問題 介護予防の要になる高齢者の食事が難しい理由とは

在宅療養の7割が栄養状態に問題 介護予防の要になる高齢者の食事が難しい理由とは

2016年11月19日 コラム 高齢者の食事

在宅療養の7割が栄養状態に問題 介護予防の要になる高齢者の食事が難しい理由とは

身体や心の変化から、高齢者は栄養バランスのとれた食事がなかなかとれないもの。ですが、食は健康の基本です。食事をおろそかにすると、筋肉量が落ちてますます食べられなくなる負のスパイラルに陥り、体力が低下。転倒などでけがをして、寝たきり状態になる可能性が高まります。

食べることは介護予防において非常に重要な要素で、しっかりとした対策を講じる必要があります。今回は、高齢者の難しい食事事情について解説しましょう。

在宅療養をする高齢者の7割が栄養状態に問題あり。その原因は?

高齢者になると低栄養状態に陥りやすいと言われていますが、これには身体的な理由があります。筋肉量は30歳から毎年1~0.5%ずつ減少し、80歳になるころには約半分になります。これによって消費するエネルギー量が減るため、ある程度食欲が落ちるのは自然なことです。

しかし、加齢に伴う身体的な変化はこれだけではありません。噛む力や飲み込む力の低下も発生するため、硬い食品や繊維質のものが食べにくくなり、肉や野菜、果物といった食物を避ける傾向が生まれます。そのため、「手軽に用意できるパンやおにぎりといった、とりあえずお腹を満たせる炭水化物ばかりを摂取する」というようなバランスの悪い食生活になりやすいのです。

そのほかにも、腎機能の低下や消化器系の不調で食欲不振になったり、薬の副作用で胃腸障害や味覚障害、唾液の分泌量の低下が起こったりと悪条件は多々あります。国立長寿医療研究センターの調査では、在宅療養患者である高齢者のうち、7割が栄養状態に問題を抱えていることが明らかになっています。食事は極めて身近な健康対策である一方、高齢者にとっては困難な課題だと言えるでしょう。

メタボ対策のダイエットが、介護予防には逆効果になることも

40歳以上の男性の大部分はメタボリックシンドローム、あるいはその予備軍とされています。これは糖尿病や高血圧症、脳卒中といった生活習慣病につながるため、「ダイエット=健康づくり」という認識が広まっています。しかし、介護予防という観点から見ると、このような認識は必ずしも正しいとは言えません。

65~75歳までの約10年間は、メタボ対策と介護予防の両方に取り組まなければいけない時期です。たとえば、ダイエットのために肉や卵などを制限すると、たんぱく質の摂取量が減少。体重を減らすうえでは効果がありますが、同時に筋肉量、体力の低下を低下させる原因になります。老後の健康な生活を視野に入れた長期的な視点からみると、健康づくりのつもりのダイエットが、かえって逆効果になってしまうことは十分にありえるのです。
そもそも高齢者の場合、若年層以上に意識的にたんぱく質を摂取する必要があります。筋肉や血管、免疫機能に不可欠な「アルブミン」はたんぱく質を元に体内で生成されるのですが、この能力は加齢とともに徐々に弱まっていきます。このような変化に合わせて食生活を改めなければ、老化が加速し、さまざまな病気にかかる原因が高まってしまいます。

食への意欲が低下する高齢者だからこそ、バランスの取れた食生活を

高齢者になると、身近な人の死を経験するなどの喪失体験が多くなって気力が減退したり、味覚、嗅覚といった感覚が衰えてしまったりして、食への意欲が低下しがちです。体力がなくなって家事が難しくなれば、料理をする回数も減るでしょう。

けれども、それらの事情から偏食、過度な少食に陥ると、自立した健康な暮らしを維持できなくなります。介護予防のためには、同居している家族の協力を得る、持ち帰り弁当を利用するなどして、なんとしてもバランスの良い食生活を守る必要があるのです。