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男性高齢者は最新レースゲームがお好き? コミュニティ参加率を意外な施策で向上させた事例

2017年10月2日 ニュース 介護レク

男性高齢者は最新レースゲームがお好き? コミュニティ参加率を意外な施策で向上させた事例

日本アクティビティ協会が、高齢者向けの一風変わった企画を実施。ソニー・インタラクティブエンタテインメントの協力のもと、人気レースゲームシリーズ「グランツーリスモ」の最新作が体験できるイベントを行いました。

これにより、地域の通いの場にはなかなかやってこない男性高齢者が集まり、参加率が大きく改善したとのこと。最新ゲームと高齢者という意外な組み合わせに、どんな効果があったのでしょうか。

熱心なゲームファン向けとされる最先端のゲーム機で、男性高齢者が夢中に?

イベントに使用されたのは、2017年10月19日に発売されるPS4(プレイステーション4)用ソフト「グランツーリスモSPORT」。一般的に、PS4のような最先端ゲーム機は、熱心なゲームファンが利用するものと考えられています。ライトなファン層はより安価で、気軽に遊べるスマートフォン用ゲームなどを遊ぶことが多く、楽しみ方が二分されているのです。

これをゲーム業界の将来を左右しかねない問題として捉える向きもありますが、脱線してしまうので話を戻しましょう。とにもかくにも「グランツーリスモSPORT」は、一部の若者をはじめとするコア層向けのソフトと捉えるのが自然です。では、なぜ今回のイベントは成功裏に終わったのでしょうか。

日本アクティビティ協会理事を務める川崎陽一氏はファミ通の取材に応じ、企画意図について説明。全国的な傾向として「シニア向けコミュニティの男女比は2:8くらい」と偏っており、男性高齢者の参加率を向上させるために、興味を持ちやすいであろうゲームを活用したのだといいます。

家庭用ゲーム機が登場したのは、1970年代。1983年にはファミリーコンピュータが登場し、日本では「ファミコンブーム」が起こりました。60歳前後の高齢者の場合、2~30歳前後のとき、この時代の変化を体験したことになりますが、自身の子どもを通じてその楽しさを知った人も少なくないでしょう。ゲームの歴史は意外に古く、今や高齢者にとっても親しみのある娯楽なのです。

リアルさを追求したゲームシステムは、実は高齢者に優しい

苦手とする高齢者が多いパソコン同様、家庭用ゲーム機もIT機器の一種。操作には、複数のボタンが付いたコントローラーが使われることが大半です。レースゲームのように素早い反応が求められる場合、いちいち操作方法を確認して、画面から視線を外してボタンの位置を確認して……と、ゆっくりプレイするわけにはいきません。ボタンの使い方を覚えなければ、まともに遊ぶことができないのです。

しかし、「グランツーリスモSPORT」は、ハンドルやアクセルといった運転装置を模した特殊なコントローラーに対応しており、ゲーム内の車両を、本物の自動車のように動かすことが可能。運転経験があれば、改めて操作方法を覚え直す必要はなく、交通事故でけがを負う心配のないゲームの世界でドライブすることができるのです。おそらく、同ゲームシリーズが車体の挙動の再現に注力していることも、高齢者に遊んでもらううえで、うまく働いたのではないでしょうか。

レースゲームが、高齢者の認知能力低下防止に役立つという調査結果も

今回の企画前に行われた調査によれば、「グランツーリスモSPORT」をしている高齢者は、認知機能低下防止に重要な前頭前野の活動が高まったとのこと。ここから、レースゲームは高齢者の認知能力低下を防止するのに役立つ、と一般論にするのは行きすぎかもしれませんが、海外でも類似の調査結果が報告されています。「人工的に作り出された環境(ゲーム)で、自動車を運転した」と捉えれば、そこまでおかしな話ではないでしょう。

今後、ゲームに親しみのある高齢者が増えていくことは、必然的な流れです。ゲームには、他人のプレイを見るという楽しみ方もあり、高齢者同士の交流活性化も期待できるはずです。レクリーエションやアクティビティに、あえて最新ゲーム機を取り入れる介護施設などが現れる可能性も十分に考えられるのではないでしょうか。