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利用回数が多い訪問介護、ケアプランの届け出義務化 生活援助型の不正利用を危惧

2018年8月10日 コラム 介護行政の動向

利用回数が多い訪問介護、ケアプランの届け出義務化 生活援助型の不正利用を危惧

訪問介護における生活援助中心型サービスで「通常の利用状況からかけ離れた利用回数」になるケースでは、市町村へのケアプラン届け出を義務付ける―― 厚生省は5月、このような通知を行いました。

平成30年(2018年)度の介護報酬改定に関する議論で、不適切な利用が行われている可能性が指摘されたことなどを受けたもの。適用されるのは、平成30年(2018年)10月1日からとなります。

利用回数が多い訪問介護・生活援助中心型サービスはケアプラン届け出が必要に

厚生省が5月10日に発出した通知「『厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護』について」によれば、届け出の対象となるのは、訪問介護の生活援助中心型。1ヶ月間の回数については、以下の通りとされています。

<届け出が必要となる1カ月間の訪問介護の回数>

  • 要介護1:27回以上
  • 要介護2:34回以上
  • 要介護3:43回以上
  • 要介護4:38回以上
  • 要介護5:31回以上

提出されたケアプランについては、市町村の地域ケア会議で利用が適切かどうか検証をすることとされています。

なお、この回数の基準には、直近1年間の全国の給付実績から、各月の「全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)」を要介護度ごとに算出し、その最大値となる月の回数を用いるとしています。

計算の仕方がやや難しいですが、要するに、全国の平均利用回数を調べて、それをベースに決めたものだというわけです。通知内では明記されていませんが、今後、回数が変動する可能性も十分考えられそうです。

届け出義務化の背景には「例外的な利用者」

さて、このような取り組みの背景には、どのような問題があるのでしょうか。平成29年(2017年)10月25日に提出された「財政制度等審議会 財政制度分科会」の資料を見てましょう。

訪問介護の生活中心型サービスとは、利用者が一人暮らしだったり、家族に障害、疾病があったりして家事が困難になっている場合などに行われるもの。同資料には、この利用状況の調査した結果(平成28年/2016年9月)が記されています。

生活中心型訪問介護の利用者数は約48万5000人で、平均要介護度は1.96。月の平均利用回数は10.6回となっています。また、要介護度が2以下の利用者数は36万7000人と大多数を占めており、そのうち9割の利用回数は20回にとどまっています。

つまり、「介護度が比較的低い人たちが3日に1回程度、多い人でも1~2日に1回利用している」という場合がほとんどなのです。

問題視されているのはこれではなく、例外的に回数が多いケース。約48万5000人のうち、約2万5000人(5.1%)は月に31回以上利用しているといいます。最も回数が多いのは要介護度5の利用者で、月115回。以下、108回、104回、103回……と続きますが、その中には要介護度2~5までの利用者が含まれています。

同資料では、この状況を「全体として利用状況に大きなばらつき」があると表現していますが、月20回以下の利用者が9割もいるわけですから、「一部に大きく利用状況が違うケースがある」としたほうがより正確でしょう。

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厚生労働省より

とにもかくにも、このような“ばらつき”が見られることから「利用者の状態に沿った効率的なサービス提供が行われていない可能性」があり、「制度趣旨に沿った適切な利用の徹底を図るべき」という考えから、今回の届け出義務化が行われることになったようです。

厚生省のデータによれば、生活援助の利用回数が90回以上にのぼるケースで調査が行われた際、不適切とされたのは48件中2件。ちゃんと必要だから行われている場合が大半だったというわけです。不適切な利用は避けなければならないというのは確かなことですが、「手間が増えるだけ」と感じてしまう介護業界関係者も少なくないのではないでしょうか。