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介護保険部会、取りまとめ発表 地域包括支援センターの機能強化、新たな枠組み「共生型サービス」など提案

2016年12月16日 ニュース 介護行政の動向

介護保険部会、取りまとめ発表 地域包括支援センターの機能強化、新たな枠組み「共生型サービス」など提案

今後の介護業界の動向を占う介護保険部会で12月9日、「介護保険制度の見直しに関する意見」と題された取りまとめ資料が発表されました。

2016年2月から約10ヶ月にわたって行われていたこともあり、介護における各自治体の役割から現場の環境改善まで、その内容は極めて多岐にわたります。

本記事では字数の都合から、マスコミ各社で報じられている所得面で余裕のある高齢者を対象とした介護保険料の負担引き上げなどに関しては省き、介護現場で働く人々に影響が大きいであろうテーマにしぼって取り上げます。

2016年介護保険部会取りまとめによって、現場ではどのような変化が?

現在、行政が介護業界におけるテーマとしているのは、大別すると「地域包括ケアシステムの構築」「来る超高齢化社会に耐えうる介護保険制度作り」の2点。このために自治体に対しては保険者である市町村の機能強化、介護保険加入者に対しては負担の引き上げといった施策が提案されています。

さて、それでは介護の現場にはどのような変化が起こる見通しなのでしょうか。

地域包括支援センターの機能強化

全国に設置されている地域包括支援センターの機能強化が検討されています。現在はケアマネージャー(介護支援専門員)の直接的なサポートを中心とした支援業務を行っていますが、さらに住民からの相談対応、土日祝日の開所などが求められています。

地域包括支援センターの労働力不足を懸念し、業務負担が過大になっているという声もありますが、同時に専門的なスキルを持った人材を確保する必要があるとの意見も。人材確保が、各市町村の介護のあり方を左右する最重要課題になっていきそうです。

介護業界の業務効率化、処遇改善

介護職員の人材確保も重要なテーマとなっています。高齢者のより良い生活を実現しようにも、リソースが足りなければ”袖はふれぬ”といったところでしょう。取りまとめでは、ロボットの導入やITなどを活用した書類作成の省力化により、業務効率化を図る方針が示されています。

また、サービスの質を守るためには欠かせない介護職員の処遇改善、ケアマネージャーの資質向上などを狙いとしたケアマネジメント手法の標準化することも必要視されています。

「技能実習制度」に関しては、介護職種が追加された場合は日本人と同等の処遇を確保すべきとの提案。日本にやってきた外国人の賃金が不当に抑えられることだけでなく、その副作用として日本人の賃金が下がる可能性を懸念した対応です。

新たな介護保険サービス「共生型サービス」

高齢者、障害者向けの福祉サービスの中にはデイサービスをはじめとして類似したものが散見されますが、制度上は別物として扱われています。そのため、内容はほとんど変わらないにもかかわらず、事業所を移らなければサービスが受けられないといった不便が生じることがあります。

このような問題を解決するために、障害者福祉サービス事業所が介護保険事業所としての指定を受けやすいよう改め、ここで提供されるサービスを「共生型サービス」として介護保険制度に組み込むことが適当とされています。具体的な内容は今後の検討次第ですが、相談支援専門員とケアマネージャーが情報共有を行う機会が増えそうです。

平成30年度からケアマネージャーと事業所に対する自治体の権限がチグハグになる可能性

居宅介護支援(ケアマネジメント)事業所に対する指定権限、ケアマネジャーに対する指導権限は現在、都道府県が持っています。しかし、平成30年度には前者の権限のみが市町村へ移譲されることになっており、チグハグな状態に陥ることが懸念されています。

全市町村にケアマネージャーの指導権限も渡すことができればよいのですが、自治体によって人材、ノウハウなどに差があり、現実的ではないことから、地方公共団体の意見を踏まえたうえで指定都市のみに一律移譲される見込みです。

厚労省が、各提案の実現に向け法案提出など

そのほか、ケアマネジメントにおける利用者負担の導入、高齢者介護をしている家族への現金給付、介護保険の被保険者となる年齢の拡大などについても議論されましたが、結論は出されませんでした。引き続き検討が行われるものと思われます。

厚生労働省は今後、取りまとめの内容を実現するために法案提出、関連分野を扱っている検討会との連携などを実施する見込みです。