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新しい総合事業とはどんなもの? 保険外サービス、混合介護との違いを分かりやすく解説

2017年9月19日 コラム 介護行政の動向

新しい総合事業とはどんなもの? 保険外サービス、混合介護との違いを分かりやすく解説

2017年4月、新たな「介護予防・日常生活支援総合事業」が全国でスタートしました。2014年の介護保険法改正により導入されたもので、一般的には「総合事業」という略称で呼ばれています。

来たる地域包括ケアシステムとも関連の強い制度なのですが、名称が曖昧なことなどから内容が分かりにくいのが悩ましいところ。近年、活用拡大に向けた動きが進められている保険外サービスや混合介護とは何が違うのでしょうか。

介護予防・日常生活支援総合事業(通称:総合事業)とは

そもそも総合事業とは、どのようなものなのでしょうか。

介護保険制度には要介護者向けの介護給付、要支援者向けの予防給付に加え、高齢者全般を対象とした「地域支援事業」があります。2006年度から始まった市町村による事業で、介護予防、生活支援サービスなどを提供して、高齢者が住み慣れた地域で健康的な生活を続けられる環境を用意することを目的としています。

この地域支援事業の枠組みで、介護関連サービスを切れ目なく総合的に実施できるよう、2012年に導入された仕組みが本記事のテーマである総合事業。2014年の法改正による変更点があり、現在は当初とは一部異なる制度となっています。

大きな改正のひとつとして、予防給付として提供され、全国一律の基準が設けられていた訪問介護、通所介護が、総合事業に組み込まれたことが挙げられます。地域の実情に合わせて市町村ごとに料金設定できるようになったほか、これまで都道府県が行っていた事業者の指定も、市町村が担当する仕組みに変わりました。

また、介護事業所による既存のサービスだけでなく、各地域のNPO、民間企業の力も借りて、多様なサービスを実現することも新たな総合事業の狙いのひとつ。厚生省は、特に高齢者が担い手になることを期待しているようです。この理由としては、介護業界の人材不足による悪影響の緩和、ボランティアの活用によるサービスの低価格化などが考えられますが、さらに高齢者が社会参加できる場所を作るという意味合いもあります。

日本では介護予防事業は10年超にわたって実施されていますが、高齢者の参加率が低かったり、参加しても継続的に介護予防に取り組める環境がなく効果的でなかったりと、成功しているとは言いがたい現状があります。そこから「介護予防で健康的な生活を維持する」という発想を逆転させ、「健康的な生活を維持することが、介護予防になる」と捉える流れが強まっています。

この図式で考える場合、社会参加は高齢者の心身の健康を左右する重要課題。介護予防サービスがその受け皿となれば、サービスを受ける側、提供する側双方の介護予防につながり、一石二鳥の効果が期待できるため、厚生省は高齢者を活用する方針を打ち出しているというわけです。

総合事業、介護保険外サービス、混合介護の違いは?

介護予防に力を入れ、高齢者の自立した暮らしを地域で守るという総合事業のコンセプトは、地域包括ケアシステムに沿ったものです。しかし、サービス類型として想定されているのは、生活援助を行う訪問型サービス、趣味や活動を通じた居場所づくりなど、介護保険外サービスでも提供できるものが目立ちます。両者の違いは、いったいどこにあるのでしょうか。

もっとも確実な点は、総合事業は介護保険制度の枠内で行われるということ。介護保険外サービスでは、利用者は介護保険料をはじめとした財源による援助を受けることができません。混合介護は介護保険制度の内外にあるサービスを組み合わせることを指すため、両者の中間のようなものとして捉えることができるでしょう。

また、今後の展開次第ではありますが、総合事業が「互助」に近い制度として発展していく可能性が考えられます。地域包括ケアシステムは高齢者を支援する主体の違いから、自助、互助、共助、公助の4つに分類され、たとえば、介護保険外サービスは高齢者自身が自分の生活を支える「自助」に位置づけられます。

共助、公助は、介護保険料をはじめとした公のお金を財源とするサービス。互助はそのような費用負担の制度的な裏付けがなく、ボランティア、NPOなどによるものを意味します。しかし、少子高齢化などから共助、公助の拡充は難しいとかねてから言われており、総合事業も資金難との戦いになるはずです。

また、総合事業には民間企業の参入も可能ですが、厚労省はボランティア、NPOなどの活用を進めたい考えを示しており、これらの状況から考えると「市町村のサポートのもと実施される互助」のような形になっていくのかもしれません。