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2018年の介護保険改正 要介護認定はどう変わる?

2018年1月4日 コラム 介護行政の動向

2018年の介護保険改正 要介護認定はどう変わる?

2017年5月に成立し、施行が2018年8月に控えている改正介護保険法。保険者機能の抜本的な強化を打ち出した内容になっていますが、これにより介護の世界はどのような変化が起こるのでしょうか。今回は、要介護認定をテーマに考察してみましょう。

改正介護保険法で要介護認定はどう変わる?

法改正のポイントについて解説した資料のなかに、全国、大分県、埼玉県和光市の要介護認定率の推移について示したグラフが掲載されています。平成23年から平成27年にかけて要介護率は、全国的に見ると17.3%から18.0%に上昇。しかし、「先進的な取組を行っている」というこの2つの自治体では低下していました(和光市:9.6%→9.3%/大分県:19.6%→18.6%)。高齢者に直接関わるわけではないとはいえ、保険者の役割も高齢者の自立支援や重症化防止などに影響することが分かります。

改正介護保険法では「介護保険制度の立案及び運用に関するPDCAサイクルの推進」という項目が新たに設けらており、ここでは次のように書かれています。

  • 高齢者の自立支援や重度化防止の取組を推進するためには、PDCAサイクルを活用して市町村の保険者機能及び都道府県の保険者支援の機能を強化していくことが重要
  • 市町村及び都道府県が、地域課題を分析し、地域の実情に則して、高齢者の自立支援や重度化防止の取組に関する目標を計画に記載するとともに、目標に対する実績評価及び評価結果の公表を行うこと

注目してほしいのは「PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化」「市町村と都道府県による地域に合った目標づくり、それに対する実績評価」です。

ここで念頭に置かれているのは、地域包括ケアシステムの構築とそれによる自立支援、重度化防止の強化。少子高齢化によって生じている課題は地域ごとに異なり、それに合った取り組みを行うためには政府や官公庁ではなく、それぞれの自治体が方針を立てるほうが合理的でしょう。

また、今回の法改正では「成果を出した保険者に対し、財政的なインセンティブを付与する」ことも掲げられています。イメージしているのは「各自治体がインセンティブの獲得を目指して主体的に動き、PDCAサイクルを使って試行錯誤。要介護認定率の低下につながる仕組みづくりを着実に進めていく」という好循環でしょう。

要介護の判定基準はどちらの方向に“是正”されるのか

このような考えがどこまでうまくいくのか。動き出してみなければ分からないところもあるはずですが、ひとつのシナリオとして「要介護判定基準の“是正”」が考えられます。現在、要介護の判定基準については自治体ごとにマチマチになっている実情があります。
ここで要介護認定率を低下させようとしている保険者があったとしましょう。手っ取り早く成果を上げたいなら、判定基準を厳しくして、要介護度を低く見積もるようにすればいいのです。数字の上では介護を必要とする高齢者が少なくなります。

もちろん、こんなことをしても高齢者が元気になるわけではありません。高齢者の家族には介護の負担がかかるようになり、介護離職せざるを得なくなる……という流れにつながるかもしれません。これがどこまで当たるかは分かりませんが、改正介護保険法が要介護判定基準に、要介護判定基準が介護利用に、と影響する可能性は否定できないでしょう。

もとより地域包括ケアシステムは、介護保険の枠に収まらない介護のあり方を目指している側面があります。今後、施設利用のあり方が変わっていくことについては確実視してよいはずです。介護業界に対して、これまでカバーされていなかったより多くのきめ細かいサービスが求められるようになる可能性は十分に考えられるのではないでしょうか。